筋トレに限りませんが、何かをする時に一度は効率を考えるのではないでしょうか。
もちろん筋トレにも、いくつかの要素によって効果の出やすさが異なります。
例えば以下は森永で実施した調査ですが、トレーニングの実感ができる人は2割程度しかいないようです。
https://www.morinaga.co.jp/public/newsrelease/web/fix/file5f5870c1b1033.pdf
基本に立ち返り、筋力や筋肥大の観点から効果的なトレーニングについて考えてみましょう。
結論から言うと、筋力と筋肥大はそれぞれ下記の要素が最も重要です。
- 筋力:一回の強度(最大負荷)。重ければ重いほど良い。
- 筋肥大:トレーニング全体の総合負荷。詳しい計算は後述。
- おすすめのトレーニング方法:10回が限界の負荷で3セット実施する。
筋力と筋肥大の特徴をとらえて、(体の)違いの分かるトレーニーを目指しましょう。
この記事で分かること
- 筋力と筋肥大の違い
- 筋力を鍛え、同時に筋肥大を目指す方法
- RM(最大反復回数)の考え方
筋力は発揮できる力の強さ、筋肥大は筋肉の大きさを表す
筋力と筋肥大の違い
- 筋力:どのくらい力を発揮できるかという能力のこと。分かりやすく言えば、「ダンベル何キロ持てる?」ということ。
- 筋肥大:筋肉の大きさ、体積を大きくする。ズバリ体をデカくすること。
まず筋力と筋肥大のざっくりとした定義について確認しました。
バーベル上げで必要なのが筋力で、ボディビルで必要なのが筋肥大ですね。
一般的にトレーニングをしている人は、「カッコいい体」を目指しているので筋肥大を重要視しています。
では筋肥大だけ狙っているかといえば、実はそうではありません。
なぜなら、筋力と筋肥大は同時に狙うことができるからです。
筋力向上と筋肥大の起こるメカニズムを確認し、効果の実感できるトレーニングを目指しましょう。
できる限り大きな負荷をかけることで筋力は成長する
筋力を成長させるためには、負荷の大きさが重要であるといわれています。
1kgより5kg、5kgより10kgの方が成長しやすいということです。
筋力を積極的に伸ばしていきたいときは、日々扱う重量を上げていくことを心がけてください。
筋ボリュームを上げていくことで筋肥大は起こる
筋肥大を起こすうえで大切な概念が筋ボリュームです。
筋ボリュームは、以下のように算出できます。
(筋ボリューム)=(重量)×(回数)×(セット数)
ぱっと見分かりにくいかもしれませんが、大丈夫です。
結構単純です。
(例)10kgのダンベルで10回3セットのトレーニングを行う。
この場合は、重量が10kg、1セットあたりの回数が10回、セット数が3になります。
したがって、
(筋ボリューム)=10kg(重量)×10(回数)×3(セット)=300kg
が算出されます。
もう一つ例を考えてみましょう。
(例)5kgのダンベルで20回3セットのトレーニングを行う。
この場合は、重量が5kg、1セットあたりの回数が20回、セット数が上の例と同じ3です。
したがって、
(筋ボリューム)=5kg(重量)×20(回数)×3(セット)=300kg
それぞれ計算してみると、一つ目の表と二つ目の表では筋ボリュームが同じになります。
つまり、筋肥大効果は大体同じだと推定できます。
1回が限界の重量で筋肥大を狙えばいいか→やや早計。RMを元に筋力と筋肥大の両方を狙え。
ここまで、筋力は主に最大負荷、筋肥大は主に筋ボリュームで決まることを確認しました。
これだけを見ると、とにかく重いものを一回上げれば良さそうにも見えます。
筋力はつきそうですし、重量がある分筋ボリュームも高くできそうです。
残念ながらそこまで単純ではなく、1回が限界の重量では筋肥大をあまり狙えません。
その原因と対策を理解するためには、RMの考え方が非常に大切です。
RMとはある重量で何回上げられるかという目安を表すもの。正しい重量と回数で効果を感じる2割の仲間入りをしよう!
RM(Repetition Maximum)とは、日本語に訳すと「最大反復回数」です。
1回の限界重量が分かると、ある重さの時に何回程度上げられるかを推定できます。
RMの考え方がよく分かる表があるので、それを使って確認してみましょう。
1RMに対して何割の重さか | 反復回数 | 重さ×回数 | 主目的 |
---|---|---|---|
100% | 1 | 100 | 筋力 |
95% | 2 | 190 | |
93% | 3 | 279 | |
87% | 4 | 348 | |
85% | 5 | 425 | |
83% | 6 | 498 | 筋肥大 |
80% | 7 | 560 | |
77% | 8 | 616 | |
75% | 10 | 750 | |
70% | 12 | 840 | |
67% | 15 | 1005 | |
65% | 18 | 1170 | 筋持久力 |
60% | 20 | 1200 |
1RMの重量とは、1回で上げることのできる最大の重量です。
つまり、自分が扱える最大重量になります。
もちろん全身運動のスクワットと、腕のみのダンベルカールでは扱える重量が異なります。
面倒ですが、基本的には競技ごとに算出する必要があります。
RMの表を使って、セットのシミュレーションをしてみよう
(例)最大10kgのダンベルを上げられる人が、1セットあたり4回行う場合の重量。
1セットあたりが4回なので、表の「反復回数:4」に該当する4行目を見てみましょう。
この時RMに対する割合が「87%」なので、10×0.87=8.7[kg]
→大体0.5kg刻みだと思うので、8.5kg~9kg程度のダンベルが目安ということになります。
このように、8.7kgで4回上げられるような時、「4RM 8.7kg」などと言います。
また、今のトレーニング内容から最大重量を知る方法も確認してみましょう。
(例)7.5kgで10回上げられる人は、1RMいくつか(=最大何kg持つことができるか)
10回でセットを組んでいるということは、「反復回数:10回」であるということです。
表より反復回数が10回の時は、1RMに対して「75%」の重さになります。
つまり、7.5kg / 0.75 = 10kgが最大負荷、1RMの重さになります。
現在1RMいくらか知ることで、重量や回数の変更もしやすくなるでしょう。
筋トレあるあるの10回3セットはベターな組み方。筋力と筋ボリュームの向上を目指そう!
筋トレの情報を集めていると、よく10回3セットという数字を聞くことがあると思います。
妥当性については様々な論がありますが、個人的には”迷ったらコレ”と捉えていいでしょう。
まず筋ボリュームの方を見ていただければわかる通り、回数を増やした方が大きくなります。
そして筋力の方は前に述べた通り、回数が少ない方が伸びやすいです。
重量を上げすぎると筋力が肥大しづらく、回数を増やしすぎると筋力が向上しない。
このバランスを考えて、大体10回が限界になる限界の75%程度の重量を選ぶと良いでしょう。
なぜ3セットなのか?
トレーニングをしたからといって、100%全ての筋肉が使われるわけではありません。
セット数を重ねることによって、前のセットで使われなかった筋肉が使われると考えられています。
10回3セット以外で組んでも良い!時間と目的に合わせて調整せよ!
繰り返すようですが、10回3セットの組み方は多くの方が実践しているベターなメニューです。
当然その人にあったベストな方法とは限りません。
それこそ遺伝や筋肉の場所でも違いが出てきます。
- 筋力を伸ばしたいのか
- 筋肥大を狙うのか
- 持久力を伸ばしたいのか
自分の目的をしっかり認識して、重量を選択しましょう。
追い込みすぎには要注意!残しておくべき「余力」にも着目しよう!
散々煽ってきた立場ですが、筋トレには「やりすぎ」が存在します。
要は疲れすぎてしまう可能性があるということです。
怪我のリスクも上がるので、セット内では後1、2回は上げられる程度の余力を残しましょう。
筋トレなどの繰り返し行うものに対して、毎回追い込むというのもある意味不健全かもしれませんね。
ここまで理解できればセットの基礎はOK!効果的にトレーニングをして効果を実感しよう!
筋力と筋肥大の違いと伸ばし方を、RMという考え方を元に解説しました。
- 筋力:一回で上げられる最大の重量
- 筋肥大:筋肉の体積を大きくすること。体をデカくする!
- RM:最大反復回数。1セットで何回上げられるか
筋力と筋肥大、持久力それぞれの伸ばし方はざっくり以下の通りです。
- 筋力:低RMで重い一撃を上げる!!
- 筋肥大:中程度のRMで筋ボリュームを増やす!
- 筋持久力:高RMで回数を増やす!
- バランス良く鍛えたい…:10RM前後の中程度で設定する!
情報がたくさん転がっている中で、効果を実感できている方は少数にすぎません。
筋トレの効果を感じるためには、目的に合わせたメニューの組み方は必須です。
力を増したいのか、体をデカくしたいのか、続けられるようになりたいのか。
継続していくためにも、事前の準備がとても大切です。
要点を押さえて、成果を実感できる2割の仲間入りをしましょう!
参考リンク
森永「週3回以上トレーニングしている男女600人に聞く、「筋トレ意識と実態調査」」
https://www.morinaga.co.jp/public/newsrelease/web/fix/file5f5870c1b1033.pdf